第4章 救出


まだ海草の中でじっとしている・・・・・・

しばらくして、同じ小魚が戻ってきた。
「もう少し頑張って」 と声をかけてきた。
僕はうなずくだけの体力しか残っていなかった。

まもなく身体よりも大きなハサミを持ったカニが見えた。
「やった!!」これで助かる。

 

カニが言ってきた。「今助け出してあげるから動かないでくれ、間違って君の手足を切ってしまうから。」
大きなハサミを高く持ち上げ、海草を一本また一本と切り始めた。

僕は早く切り終わって欲しいと思いながら、じっと動かないように我慢していた。
カニは休まず 次々と切り取っている。全身汗をかいて赤くなっている とても暑そうだ。
心配そうに魚たちも様子を見守っている。

「最後の一本だ。これを切れると抜け出せる。」とカニが言った。しかし残った一本は一番太く、
僕には開いたハサミよりも太く見えた。カニも疲れたように、最後の力を振り絞って切り始めた。
一度では切れず、周りから少しずつ切っていった。

お願いだ急いでくれと思いながら様子を見ていたら 突然カニの動きが止まった。
僕はもうちょとなのにと思いながら「どうしたの・・・?」とカニに声をかけた。
カニが言ってきた「少しだけ休ましてくれないか」と息絶え絶えに行ってきた。

僕は不安だったが、カニも一匹では限界に近い量だった。
僕は「頑張るから少し休んで・・・・」と言ったきり気を失ってしまった。・・・・・・・

周りが騒がしくなり、気がつくと「切れるから起きて」と魚が声をかけてきた。
みんなの歓声と共に最後の海草が切り離された。みんな歓んでいる。

その瞬間、海面に向かってフワッと浮き始めた。手足を動かす力さえ残っていない。
浮力に身を任せるしかない状態だった。 海面までが凄く待ち遠しく感じられた。

海面へ頭が出た。おもいっきり息を吸った。助かった。空気がおいしい。しばらくボーッと波に揺られながら浮いていた。
あっ、カニさんへお礼を言うのを忘れていたと思い出した。潜ってみるとカニの姿は何処にも見当たらない。
魚に「カニさんは」と聞くと 「帰りました。」と言われた。
助けてくれたカニへお礼を言えないまま別れてしまった

再び海面へ戻ると、上空には 鳥がピィーピィーと鳴きながら、海面近くにいる小魚を
狙って旋回しながら集まっていた。

100メートル先で大きなシャチ数頭が海面から高くジャンプをしている。すごい水飛沫だ!
僕の目の前を横切った巨大な物体の正体がわかった。鯵の大群を追ってきたシャチだった。
鯵を浅瀬へ追い込んでいる。相手の動きを封じ込める生活の知恵だ。

すると海岸から警報が聞こえてきた・・・・・・


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